医療法人社団石筍会 前理事長/山口内科・呼吸器科クリニック 前院長 山口規夫 先生

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ご経歴

1977年3月に東京医科歯科大学(現・東京科学大学)医学部を卒業後、同大学医学部第3内科へ入局。以後、大学の連携病院で研鑽を重ね、1996年12月に東京都東久留米市で「山口内科・呼吸器科クリニック」を開設されました。2017年9月には医療法人社団石筍会を設立し、理事長に就任。2023年3月に医療法人を第三者へ継承され、現在は同クリニックにて週3日、非常勤医師としてご勤務を続けておられます。

山口内科・呼吸器科クリニックのご案内(東久留米市医師会)

医療法人社団石筍会 前理事長/山口内科・呼吸器科クリニック 前院長 山口規夫 先生 医院継承インタビュー

医院継承されてから約2年が経ちましたが、現在の心境をお聞かせください。

すごくハッピーです。すごくのんびりして。生活に余裕というか、気持ちですよね。気持ちに余裕ができて、すごく幸せな気持ちで過ごしています。

今の生活は、どのようにお過ごしですか?

多分リタイアした人たち、患者さんの話を聞いてもそうですけど、退職したら暇ができるから、あれをしようとかこれをしようとか、色々ありますよね。皆さんそのようにおっしゃっていたんですけれども。奥さんに「ゴミを出しなさい」と言われて出しに行ったりとか(笑)、買い物に行ったりとか。そういうお家のこともお手伝いするぐらいで、あまり何もしないですね。ゆっくりしています。

いつごろから継承を考え始めましたか?

今は(2年経ちましたので)もう記憶が乏しいんですけれども。そうですね、65歳ごろから色んなことを始めようというふうに思っていました。多分60歳過ぎ、65歳近くなってからですかね、そう考え始めたのは。

6年前の弊社との初回面談では「あと3~5年は診療を続けたい」と仰っていましたが、そのお考えの背景を教えていただけますか?

「続けたい」ということではなくて、「70歳になったら辞めよう」というのが1番初めです。「3年~5年続けたい」というのは「70歳になるまでは続けたい」ということで。継承するのには先方の都合もありますから、その前や、もう少々後になってもいいかな、でも70歳ぐらいでと。リタイアというか、(気になったのは)自分の健康ですよね。例えば突然死をしてしまうとか。僕の後輩が突然死をしてしまって、その後大変だったんですけれども。もし突然死をしてしまったら、家族、職員、それから患者さん、みんなに迷惑がかかりますので。ある程度の年齢になるとやはり体の調子が悪くなってクリニックを休まないといけないとか、自分が入院するとか。突然いろんなことが起こる確率が高くなっていくと考えて。それを「70歳」に置いたということですかね。

継承に向けて準備していたことはありますか?

個人経営だった個人医院を、法人化しました。法人化した方が譲りやすいという話を聞いていたものですから。いろんな意味で手続きがスムーズにいくという話を聞いていて、まず法人化すると。法人化し、少しそこで道筋をつけて譲っていくということで。開業してから随分長く個人のままでいたんですけれど、法人化をしました。それとメディカルプラスさんに連絡をしたということですね、準備という点では(笑)。(※山口先生は開業から21年後に医療法人化されました)

法人化するのにどなたかにご相談しましたか?

いえ、ネットで色々見ていて。法人として譲った方が個人で譲るよりも色々な意味でメリットがあるのではないかと。(ネットの情報が)正しいのか正しくないのかはよくわからないですが、そういう風に考えましたね。

当初はご子息に親子間継承する選択肢も伺っていました。ご子息へ相談したときの反応はいかがでしたか?また、ご子息以外にも候補者がいらっしゃいましたか?

はい。息子には「やる?」と聞いたんですけど「やらない」って(笑)。要するに、彼は循環器の医者でいろんなアブレーションとかそういうのをやっているんですけれどね。そういったテクニカルなことが、まだまだやりたいということで。「4~5年だったら待つよ」と言ったんですけれど、「やる気ない」ということだったので。ならもう仕方ないなと。息子は当時、35~36歳位ですかね。やっぱり病院でいろんなことをやりたい、器機なら器機を使ってやりたいという欲求の方が強かったですね。

同じ開業医の東久留米市で開業している先生に医師の息子さんがいますので、「息子さんどう?」と声をかけて。お父さんとお母さんがドクターで、その先生たちは「そうだね」って言って。息子さん3人ともお医者さんなんです。そのうちの1人がやってもいいし…というようなお話を、お父さんとお母さんとはお友達ですから、していました。でもやっぱり息子さんはあまり乗り気にならなかったみたいで。やはりうちの息子と同じで、あまり開業ということに目が向かないので、病院での仕事の方が楽しいと考えたということでしょうね。

後継者を探す上で、「どんな医師に引き継いでもらいたい」や「継承する際に求める条件」など希望する条件はありましたか?

“優しい先生”。患者さんにも優しいし、職員にも優しい先生。あとはあんまりなかったですね。明るい先生、話しやすい先生、そんなイメージです。

何名の候補者とトップ面談を行いましたか?また、トップ面談の候補者の印象はどんなでしたか?

3名。ある先生は「継いでもいいよ」と言ってくれましたが、僕はまだ完全に譲って自分がクリニックから手を引くというのではなくて、診療を少しでいいからやりたいというふうに考えていたんです。それに対してちょっと否定的だった先生は、やっぱりちょっと「う~ん」という感じだったんですね。

別の先生は、クリニックを見に来られていろいろなお話をした時に、このクリニックを継承するお話以外の(新規)開業とかそういうことの話になりまして。そういう話を色々としていくうちに、なんとなくその先生が「じゃあ僕、自分でやろうかな」となったことがあって(笑)。「じゃあ、失礼します」と。

譲渡することになった先生は、すごくにこやかにこっちの話をよく聞いてくださったし、それから職員に対しても良さそうだったということ。それから僕が少し手伝うというか「自分も仕事をやらせてほしい」という話をした時も、非常にウェルカムと言っていただいたということで。すごく良かったなと思っています。

継承後の継続勤務、また継承時期に関してもご希望をかなえられたということになりますでしょうか。

勤務は、今は週3日。そうですね、3日ないし4日働かせてもらって。もう少し少なくてもいいかなと。2日~4日の間くらいということで良いのかなというふうに考えておりました。継承時期に関しては、当初は確か4月ぐらいと考えていました。3月いっぱいでいわゆる世の中が年度替わりですから(それに合わせて)「変わろうか」という話を多分していたと思うんです。で、それを一ヶ月くらい早くしてほしいと言われたと思いますが、基本的には想像というか、うまく僕の考えとそんなに齟齬が無かったです。

引き継がれて2年です。後継医師と2診体制で診療されていると思いますが、当時の先生のクリニックからの変化は?

患者さんの数はですね、自分一人で診療していた時には1日100~110名来ると凄く多いな、という気がしたものですけれど。今2人でやっている水曜日、フルに2人でやれる日は、大体コンスタントに150人ぐらい来院します。つい先日の事ですが197人を2人で診まして。あと3人追加しようとしたんですけれども、ヒーヒー言いながらで(笑)。想像できなかったですね。2人でやるということがやっぱりやっている時も楽ですし、職員は大変なんですけれどもね。患者さんの数も増えてきて、継承してくれた先生も安心しているんじゃないかなと。そういう金銭面のストレスとか少ないのではないかな、と思っています。

営業権は、修正後実質利益1.5年分の設定でしたが、譲渡条件の満足度はいかがでしょうか。

高ければ高いほど良い訳ですから僕にとっては(笑)。でも相場というものがあるでしょうし、それは僕には全くわからないですよね。(メディカルプラスさんに)声をかけ、別の業者さんにも声をかけて。大体金額はそんなもの(同じようなもの)で出てきましたので。世の中というのはそういうものなんだろうな、ということですよね。僕の方は高ければ高い方がいいし、譲り受ける先生も安ければ安い方がいいのも分かっているから、そのところを第三者の方が決めるべきものだと思うので。「それでいいですか」と言われれば、「いいですよ」としか言いようがないですよね。

引継ぎ期間、スタッフや患者への告知はどのように実施されましたか?

引継ぎは3ヶ月ですね。患者さんへの告知はしてないです。クリニックの名前もそのままですよね。ということで患者さんは今でも僕が院長で(後継者の)若先生が雇われているんだなと思っている人が結構います。何か証明書とか書類を見たときに「あれ?先生、理事長が先生の名前じゃないのね」という話が出てきて、「そう、僕雇われ。」という話をしているんですけども。大体3分の2くらいの人は、もうわかっているんじゃないのかな?と思います。

告知からクロージングまでの間、後継医師への引継ぎはどのようにされましたか(テナント・医師会も含めて)?

テナントの引継ぎに関しては、税理士さんですとかその辺の人たちの助言を受けながらやって、仲介の不動産屋さん、管理をしているような不動産屋さんには…半年か1年くらい前かな?「もし変わったときにどうするの?」や、「名義変更だけ覚書だけでいいのか?」と、そういう話をしていましたので。向こうさんも分かっていて「変わるよ」と言ったら「じゃあ、書類を送ります」とそれくらいのイメージで終わりました。

医師会の方は、「今度変わるから、書類ちょうだい」と言って貰ってきまして。それから医師会は入会するときに理事との面談とかいろいろあるので、それは(後継者の)先生にもちろん行っていただかないといけません。本当に(後継者の先生が)会員になるまでは、医師会の事務局と僕とで連絡をとって、先生に伝えていっていただくという形をとっていました。しばらく前まで僕が会長をやっていましたので、事務局なんかもよく知っている、また理事の先生たちもよく知っていますので。

現在も継承されたクリニックで週2日、非常勤医師として勤務されていらっしゃいます。継承後も5年ほど診療を続けたいと最初からお考えでしたが、その背景にはどのようなお気持ちがあったのでしょうか?

出来る仕事をしていかれる間は、やっぱり仕事をしようと。他に何もできないですし、他の職種ができないから。これしかできないので、それをやっぱり続けさせてもらえると、凄くありがたい。ただ、自分がどこまでできるのか。今71歳、ここから72歳になって…5年という事は75歳くらいですよね。その時にちゃんとした診療というか、それが出来ているのかどうかということを考えて、4~5年は何とか知識を食いつぶしていかれるのではないかな、ということで、5年ぐらいかなと。

前院長と後継医師が一緒に働き続けるのはお互いやりにくいのでは、と質問を受けることがありますが…

ないです。僕の方はやっぱり何も感じていないですよね。(後継者の)先生がどんな風にお考えになっているのかその辺はわかりませんので何とも言えないですけども、そういうのは全然ないですね。

踏み込んだ質問です。現在の勤務医としてのお給料は1日おいくらか、差し支えなければ伺ってもよろしいですか?

言ってもいいの(笑)? 世の中の相場はよくわからないんですけれど(手のひらでジェスチャーをして)1コマ半日これだけですかね。ただ僕も本音を言えば、いま2診体制の日は、僕の方がいっぱい患者さんを診ているんですよ。「もうちょっとあげてくださってもいいのかな」と思うけれど(笑)、なかなか言い出せなくて。世の中の相場ってどれくらいですかね?貢献度はもうちょっと高いから、もうちょっとあげてもらってもいいのかもしれないね。でもそんなこと言おうものなら、「要らないよ」って言われそう(笑)。

譲渡対価で何か購入されましたか?

買ったもの。お家を買った別荘を買ったとかクルーザー買ったとか、そういうものは何もないです。マンションは、しょっちゅう見に行っています。今凄く高いんですよね。だから「こんなところに、こんなにお金をだしていいのかな…」と思って。やっぱり手が出ないですよね。今住んでいるのが戸建てなので、将来的には子供がそこに住むかもしれない。そうすると、自分たちは小さなマンションに移って。やっぱり歳を取ったら小さなところでマンションの方がいろんな意味で安全だし、良いかなということで。そのためのマンションを考えようと思っているんですけれど、奥さんが田舎苦手なもので、都心だとなかなか高いですね。

医院継承を振り返っていただき、メリット・デメリットをお聞かせください。

まずデメリットですが、自分の経験ではここがデメリット、というのはないですね。でも収入は少なくなりますよね。それで奥さんが今まで使ってきたお金がそのように使えなくなり、自分が制限をかけるということが結構出てきているから、そういう意味でのデメリットはあるかもしれない(笑)。でもオフィシャルに考えたときに、患者さんにとってみればクリニックが持続していて、同じカルテとかデータが残っていて、建物もそうですし雰囲気がそのままある。患者さんにとっては、やっぱりある程度メリットがあると思います。職員にとっても、経営者が変わるとはいえいろいろな雰囲気…中の人間関係や患者さんも知った患者さんですから。新しいところに行ったというのではなく、同じ環境でずっといくわけですから。そういう意味で仕事を継続するのに安心感があるだろうな、と思います。

また先ほどから申し上げている通り、受け取った(後継者の)先生にとってメリットがあるかないかというのは、僕が言うことじゃないと思いますけれども。やっぱり新規で開業するよりは、自分が新規で開業したことを考えると、楽ちんなんじゃないかなという気がします。あとは譲った僕本人としてはやっぱり責任。職員、患者さんに対する責任。自分が急におかしくなって急に閉院したりというような、そういうリスクがなくなるということ。それから、なにせ気楽だと。パートの身ですから。精神的にもだいぶ良いということがある。だからそれはすごく、いいことなんじゃないかと。ただ1年契約ですから。来年どうなるかわからないというのはありますけど(笑)。でも、良かったんじゃないかなというように思います。僕自身はね。

医院継承による医院譲渡をお考えの先生方に一言メッセージをお願いいたします。

その先生のお考え、「考え方」だと思います。僕みたいに「のんびりしたい、でも何をしていいかわからないから、ちょっと継続したい」という先生もいるし、もっといろいろなことをやりたいという先生も、いるんだろうなとは思いますけれども。やっぱり責任がなくなるということはすごく良いこと、開放感がすごくあっていいかな、というふうに僕は思っています。僕にとって1番良いのはそこですよね。

だから、今自分で頑張っていらっしゃる先生たちも、これからそういう「のんびりする」という意味での選択肢はあってもいいんじゃないかな、というふうに思いますけれどもね。いろいろな考えの先生がいらっしゃると思うので、継承がいいか、そうでないかというのはよくわからない。「私はそうです」ということしか申し上げられないですね。

この事例を担当したのは、弊社アドバイザー 豊島 太郎です

コンサルティング営業本部 医院継承第2事業部 部長 豊島 太郎 Taro Toyoshima

豊富な業界経験に加え二級建築士の資格を持ち、クリニックの内装やインテリア関連の知識にも明るい多才なアドバイザー。建設不動産関連業務を約7年経験、その中で人それぞれの人生とその大切さについて深く考える出来事を多く経験。メディカルプラス参加後は5年間で約40件以上の継承に立ち会い、医師の人生のターニングポイントに立ち会うやりがいを原動力にサポートを行う。穏やかな物腰と優れた傾聴力に社内外から定評あり。

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