武石先生、貴重なお話を有難うございました。
クリニック譲渡案件と、譲受希望者条件が閲覧可能になります。また最新の譲渡案件・継承開業に関する情報をいち早くお届けいたします。情報収集の効率化にお役立てください。
インタビュー本編をご覧いただく前に、メディカルプラス編集部より武石先生のご経歴をご紹介いたします。
医大をご卒業後、一度は千葉で精神科を開業。その後「子供を診療していきたい」という思いを抱かれそのクリニックを譲渡し、東京都港区で新たに児童精神科「こどもメンタルクリニック芝」を開業した武石先生。「これからはまた千葉にもどり、地域の子供たちを診ていきたい」とセカンドライフも開業医をご選択、再び譲渡の運びとなりました。メディカルプラスの談話室にて、温かな眼差しで過去と未来をお聞かせいただいた充実のインタビューを、ご覧ください。
⼦供さんの精神科というのを、規模は⼩さくしても続けていきたいなと。⼀⽅であまり忙しくなく、⽥園の⽣活も楽しみながらという「⼆兎追うものは⼀兎も得ず」じゃないけれども、何とかその 2 つを追いかけてやりたいなという⾵に、今は思ってます。あと何年⽣きるかという時にまたこうやって新規に開業するというのは「何を考えている」と思われそうでもあるんですが、やってみたいなと。都⼼の⽅のマンションもありますので、両⽅を⾏き来しながら…というようなことを考えていて。千葉の⽅がメインになってくるとは思いますね。どうしても診療を続けますので。
もう⼀つは、いま⼦供さんの「児童精神科」というのが⾮常に、やはり診るところが少ないということがありまして。⾃分がやってきたことを少しでも、やっぱり少し格好いいことですけれど世の中の役に⽴てば、それも嬉しいことだなと思っています。
例えばクレジットカードの⽀払いは、当然ながら 1 ヶ⽉遅れで来ますし、保険の請求というのはちょうど2ヶ⽉遅れで⼊ってくる訳です。9 ⽉の診療分というのは 11 ⽉に⼊ってくる。気持ちのうえでは⾊々な⼼配ごとが起きているといった状態です。実際にいま後を継いでくれた先⽣とも時々連絡をしては、こちらでお伝えしたつもりであっても伝わってなかったり、(先生から)時々問い合わせが⼊ったりとか⾊々しております。
簡単に名前だけ変えれば済むかというとそうではなく、⾊々な⽀払いの契約なんかは一旦解約し、その後また新規か契約し直しなど⾊々ありますから、ちょっと気を揉んでいるところです。
クリニックの名前にあるように⼦供さんを、「中学⽣以下の⽅を対象にして」ということで始めましたから。港区の「芝」というビジネス街に作ったのも、ご家族の中で…やはりお⽗さん⽅が時間を空けてでもですね、ちょっと相談に来やすいところというのが、場所を選んだ一つのポイントではありました。
⼦供さんはもうお⺟さんから⽣まれますから、お⺟さんとの繋がりっていうのはこれはもう誰でも、そしてお⺟さんにどういう⾵に育てられたかでというのは、これは私達もこうやって⼈⽣を送ってきてる中では、とても感じているところですけれども。やはりお⽗さんの役割ってとても⼤きくて、ご夫婦がうまく連携しながら⼦育てをされていくということを援助するのも、⼦供のクリニック、⼦供の精神科の⼀つのポイントなので。それを考えて、というところがありますね。
東京都港区の芝のクリニックは、千葉から移ってちょうど 10 年ぐらいになる訳です。今の形ではなくて、⽥舎暮らしをしながら引退して…田舎暮らしの⽅がメインでしたけれども。そちらをしたいなということで、千葉をずっと⾊々⾒て歩きました。内房や外房⾊々なところを。そういった中で「ここならやれるかな」というところがあったので、まずセカンドハウスとして中古の家を買った次第で。それに連れて、継いでくださる先⽣をお願いしたいということで動き出しました。
やはり 70 歳を超えてというところが⼀つの⽬処で、 77 歳とか 80 歳までは働けないから。そうすると残されたのが 3 年・ 5 年・ 6 年・ 7 年、どれくらいかなと。最低 5 年くらいはあるうちに譲りたいねと。できたら⼦供さんの診療を、⽥舎の⽅でゆっくりしながらやれたらいいね、という発想はありましたね。
家内が臨床⼼理⼠というか公認⼼理⼠、元々は精神保健福祉⼠という資格を持って仕事をしていた⼈間なものですから、当然家内に相談して「どうしようかな?」と。家内と⼆⼈で⼆⼈三脚でやってきたというのが、私の特徴かもしれません。
後はネットで⾊々書き込みがあったりとかしまして。たまたま今⽇(インタビューに)来る前に⾒たものでは「私の⽼後はどうしたらいいか考えています」という書き込みをきっかけに、だいぶスレッドが盛り上がってるのを、出る前に読んでから来ましたけれども。いろんなご意⾒があって「死ぬまでやるんだ」という⽅もいれば「もうこんな勤務医で牢獄みたいだから早く辞めたい」って書いてる⽅もいらしたりして。そういったネットの書き込みは⾊んな意味で参考になりますよね。
歳を取ってみて分かることは、不確定要素が増えるということですね。30 代 40 代の時は、決めたことで進めますけどもね。やはり歳を取ってくると病気のこととか、もしもっていうことがどんどん増えますから。それを考えながらやらなければならないので、そういうところの難しさはありますね。
ダイレクトメールの来ているところ、それから⾃分で検索かけたところ。確か 4 社程とお話をして「相⾒積もりと同じように並⾏してやりますがいいですか」と確認をとって、担当の⽅がクリニックを⾒に来られたり。⼦供の児童精神科という狭い領域でやっていることもあって、そのことをちゃんと評価をしてくださるところと…でももう頭から「いや、そういうことでは⼈は⾒つかりませんよ」って⾔われちゃうと、これはもうちょっと無理かな、という感じになりますよね。
「どうにかやっていきましょうね」という形で⾔っていただけたというのがこちら(メディカルプラス)、ということになりますね。
児童精神科ということに関してどういう経験をお持ちなのか、どういうところで働いてきたのか。児童精神科というのは狭い領域で、病院も決まった場所になってきますので、どこで働いているかで、どんな⼈か分かってしまうんですね。「⼦供さん専⽤に」とかなり建物や待合室の彩りには⼯夫をしていたものですから、そこにですね、本当にパッと反応してくださったというのは、嬉しかったですね。
そもそも「児童精神科を⽬指してやっていこう」という⽅はそう多くはないので。「そこを⽬指しました、やりました」と仰るだけでも、お願いしたいっていう形になるわけで。その⼀⾔に尽きると思いますね。
やはり世代差というのが⼤きいかもしれません。電⼦カルテというのは、本当にごく最近の話ですから。紙ですからね、紙のカルテの時代。当然今の先⽣⽅はもう、学⽣時代や研修の時から電⼦カルテですから、(私の)悪筆で紙のカルテが読めないというのもありますけれども、やはり電⼦カルテというところが最初のやり取りのテーマでした。レセプトの請求であるとか⾊々な事務的なことも、私自身でかなりやってしまっていた…特に事務の⼈を置かないでいたというところがありましたので、そういった点でも引き継がれた先⽣は、若⼲苦労されているみたいですね。
患者さんに関しては、当然ながら⼀番のポイントですけれども、臨床の経験はおありですから、そこは引き継いでうまく回っています。従業員の⽅とは 3ヶ月ほど前に会っていただいて。⾊んなところでパートで働いてますから、実は⼀⼈⼆⼈挟むと⼤体知り合いになっちゃうんですよね。そういう点では⽐較的スムーズに⾏ったんじゃないかなと思います。
テナントを借りてやってた訳ですけれども、当然ながら法⼈で借りているわけですから「法⼈の代表者が変わるだけだ」という理屈ではあるんですけど。⼤家さんから⾔えば、今までだいぶ配慮して家賃も抑えてきたんだけれど、こういうきっかけの時に「ちょっとこうさせてくださいね」というお話が出てきました。
考えてみると、借りた当時とずっと同じ額で貸してくださっていたっていうのもあって、⻑くなるとそういうこともすっかり忘れちゃうわけですけどね、もう空気のようにという感じですから。⼀番そのテナントの中で⻑くなってしまっていたわけですね。それがそういうきっかけがあって、話が出てきましたね。
やはり⻑くなると⾊んなものがルーズになっているので、(資料を)ちゃんと揃えておくとか、パスワードはきちっと管理する、鍵はちゃんと保管するとかですね。そういうことをしないことに慣れちゃっていますから。で、周りのスタッフもみんな慣れてるとなると、いちいちそういうことを考えないで「あれお願いね」で済んじゃうわけです。それを全部⾒直しをしなくちゃいけない…ということになったので、それがなかなか⼤変ではありましたね。
(私達の思いを)キャッチしてくださったってことでしょうね、「こういうことをおやりですか」ということで。
それに対して、児童精神科は⾮常に狭い範囲だから、極端に⾔えば「⾒つかるわけありませんよ」と頭ごなしに⾔われて、「ここは診療内容よりも場所だから場所で⼈を探すしかないですね」と決めつけられちゃうと。
どの科でも、どの先⽣⽅でも⼤切にしてきたものがあると思います。そこをちゃんと掴んでくださるというのは、本当に安⼼してお任せできる⼀番のポイントですね。
やってみたいことを続けるというのが⼤切じゃないかな、というふうに思いますね。お願いすると待っている間というのはかなりこう、不安にもなるんですね、本当に上⼿くいくだろうかとか。それからいくつか候補の⽅が挙がりお話しするとして、それがうまく通じるだろうかとか。その⼼配やちょっと不安感を抱えての⽣活は、しんどくはありますけれども、頑張ってみる意味はあると思いますね。
武石先生、貴重なお話を有難うございました。