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譲受成功事例

やまもと皮フ科 藤田 博 先生 インタビュー

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Q1 継承してから8ヶ月経ちました。現在の心境をお聞かせください。

慣れてきたと言えば慣れてきましたが、継承当初は全く一から分からない状況でした。ちょっとずつ慣れてきたのですが、そうすると慣れてきたなりに、(今後)どうしたらいいんだろうという課題も出てきたりして。物事が分かり始めるとさらに疑問が湧いてくるのは、どの世代も同じだと思います。そういった状況なので、これからどうやって発展させていくかを考えていかなければいけないな、と思っています。
一から作られて盛り上げてきたクリニックには色々と苦労もあったはずなので、それを引き継ぐということは前院長の思いを尊重すべきことですよね。これからどう発展させていくか、慣れてから少しずつ変えていけばいいと考え、診療時間を延長するなど、最近はちょっとしたことから変えていきはじめています。

Q2 経営は順調ですか?

前理事長の山本先生の方針を引き継いで、それに乗せていく形で少しずつ肉付けをしています。比較的、順調に運営できているように感じています。

Q3 いつ頃から開業をお考えでしたか?

東京で3年間、単身赴任でサラリーマン的な勤め人をしていたわけなのですけれども、2年ほど前ですかね。自分のクリニックを出したいな、と思い始めました。一般的にはお医者さんは病院でキャリアを積み重ね、そこで終わるケースというのがどちらかというと多いのですけれど、私もそういった経験も長くしてきました。ですので「新たな変化」というか、自分のクリニックで自分の方針に基づいて、しっかりと診療を行いたいと思いました。苦労もあるかもしれませんが、良い面もある。自分の責任で診療をしたいな、と思ったのがきっかけですね。

Q4 なぜ継承開業を選ばれたのですか?

いま僕は50歳なかばに近い年齢なのですが、50歳ちょっとで開業するとなった場合、純粋に「診療」という使命もありますが、「収益」というのも当然考えなければいけない問題ですよね。
あとはスタッフも一から揃えなければならない。クリニックが軌道に乗るまでにはタイムラグがあると思うんです。場合によっては数年単位で。
例えば、40歳ぐらいで開業を考えているドクターの場合はそれ(新規開業)で良いのかもしれませんが、僕の場合は年齢的な問題もあり、そのタイムラグは無駄な時間だと考えていましたので、最初から「継承」で進めようと思っていました。

Q5 このクリニックを継承しようとした理由は?

ハード(構造物や機械や設備など)が整っていて作り上げる労力が必要ないので、「今までのスタイルを継承しつつ良い方向に向かわせるためにはどうしたら良いか」というような微妙な変化を取り入れていくことが、一番安全で早い方法です。それが整っているということと、患者さんもついてくださっているので「安定した経営」が可能でした。

またクリニックの「受付スタッフ」「ナーススタッフ」がしっかり自分の役割を自主的にできている。上から言われたからやるというのではなくて、自主的に自分が何をすればいいかを判断して行動できている。正直に言ってしまえば「継承」の場合はドクターが変わるわけなので、ドクターの指導力がクリニックに与える影響が大きく、「ドクターが変わるとクリニックが変わってしまう」リスクがあります。そういうクリニックではない方向がいいと思ったんです。ドクターが変わっても、クリニック自体が円滑に運営されるような状態でなければ、ドクターの変更後に問題が生じる可能性があると思っていました。その点で当院はスタッフが自主的に行動できる印象を受けたので、それが大きかったですね。

あとは首都圏のクリニックの共通点だと思うのですけれども、多少車移動があれど、主要幹線鉄道の最寄り駅の近隣に位置していることが一番だと思って。当院もそのような立地条件で、これ以上近いクリニックがないという状況ですから、それも重要な判断要素の一つでした。クリニックで駐車場も用意してあるので、車で来る方のニーズにも少なからず応えられる。そういったことも決め手でした。

Q6 継承はスムーズにいきましたか?

継承した直後は前院長にもしばらく残っていただきました。それで事務的なことや気を付ける点などについてご助言をいただき、それを参考にしながら取り入れてやってきました。

スタッフは自主的に動ける面がありますので、私の考えと乖離していた場合は、色々な指摘があると思いますが、実際にはあまり乖離していないというか。相談事をすることもあります。例えば「こういう診療項目を取り入れようか」とか、特に美容の方面に関してですね。「これどう思う?」そんな感じで相談することもあります。

Q7 継承開業で大事なことはありますか?

僕の場合は比較的、担当者・前院長と会う機会が多かったです。
そういう意味では意思疎通をしっかりできた方だと思うので、継承するという話の流れになった場合にはできるだけ手間を惜しまずに時間を作って、いろいろ話をすることが、大事かもしれないですね。

Q8 新規開業をしようか悩んでいる先生方にアドバイスをお願いします

開業を考える際に「新規」で出すのか、それとも「継承」するのか。
新規の場合は大多数のドクターがそうであるように、そこ(開業の地)に新たに根付いてクリニックをしっかり守っていく。そういう考えであれば「新規開業」が一番良いと思います。最初から自分が作り上げてきた苦労が「思い入れ」にもつながるでしょう。

ただ年齢的な問題も踏まえると、50歳を越えた方の場合には「継承」の方が現実的なタイムラグを考えた場合に良いかなと思います。「継承」の場合でも、先輩や知人との関わりを持った継承は意外と難しいと聞いたことがあります。そのため仲介会社の方と連絡を取り、他人というか知らない医師を紹介してもらい引き継ぐ方が、あっさりしていて逆にいいかもしれないです。
先輩後輩関係の継承になれば「すごく良いパターン」と「トラブルパターン」両方出てくる可能性があります。それであれば、全く知らない先生と新たに知り合う方が、いいかもしれないですね。


藤田先生、貴重なお話を有難うございました。

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