STORY 02 未来へつなぐ医療 ~地域とともに歩む継承の物語~
第8章 後継者探し ~希望への道のり~

後継者探しは思うように進まなかった。第三者継承という選択肢自体が珍しく、「親子間でさえ継承は難しいのに、第三者が引き継ぐのは無理があるのではないか」、「長年培われた診療方針や患者との関係を、新しい医師が引き継ぐのは難しいのでは」、「職員の高齢化や設備の老朽化など、リスクが大きい」など、周囲からは様々な否定的な声が寄せられた。

濵田と加藤は様々なアプローチで後継者探しを進めた。医薬品卸、医療機器ディーラー、製薬メーカー、内装業者、銀行、リース会社、調剤薬局など、医療に関わる多様な事業者を訪問。開業希望の医師を探した。

後継者を探し始めてから7ヶ月後、3人目の継承候補者との出会いがあった。消化器内科の専門医、清水誠二(42歳)である。新潟県出身で地元の国立医学部を卒業後、千葉県鴨川市にある亀田総合病院で研鑽を積んできた医師だった。

清水が開業を考え始めたきっかけは、子どもの小学校入学と、ここ数年で開業した同級生たちの存在だった。妻の実家が千葉市だったこともあり、この地域での開業を検討していた。

横浜市の医療モールで新規開業した内野達也は、開業から2年かけてようやく1日30名ほどの患者が来院するようになった。しかし開業当初は1日2名という日もあり、運転資金の減少に不安を感じる日々が続いたという。

一方、武蔵野市で父親のクリニックを継承した小川祐介は、継承時から1日40人の患者が来院しており、患者数の面での不安はまったくなかった。ただし、ベテラン職員のマネジメントや、紙カルテからの移行、施設のバリアフリー化など、様取り組むべき課題は多かった。それでも2年かけて徐々に改善を進め、より幅広い年代の患者さんが来院するようになっていた。

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