STORY 02 未来へつなぐ医療 ~地域とともに歩む継承の物語~
第1章 医療ビル開発の記憶

2010年。医療施設に特化した建設会社に勤務していた濵田は、老朽化した診療所の建替え案件を手がけていた。主な業務は医療ビルの開発と、その後のテナント誘致だった。

医療ビルとは、複数の診療科目のクリニックや調剤薬局が入居する専門施設である。患者にとっては複数の診療科を一カ所で受診できる利便性があり、医師にとっても相互送客による集患効果が期待できる。そのため、医療ビルは現在も増加傾向が続いている。

医療ビルのオーナーは多様だ。相続税対策として土地を有効活用する地主、投資目的で建設する事業者、既存の診療所が建替えるケースなど、様々な形態がある。中でも濵田は、旧有床診療所の開業医を対象とした提案に注力していた。

有床診療所を取り巻く環境は厳しさを増していた。全国の病床数は昭和55年の287,835床をピークに減少の一途を辿り、令和3年には83,668床と7割も減少。多くの診療所が病床を廃止して外来診療のみとなっていた。

しかし、問題は病床数だけではない。昭和50年代に建設された建物の多くは老朽化が進み、建替えか大規模修繕の時期を迎えていた。さらに、廃止した病床スペースが無駄になっているケースも多く、土地の有効活用という観点からも課題を抱えていた。

これらの課題に対し、濵田は医療ビルへの建替えを提案していた。土地の有効活用と相続税対策を実現しつつ、地域医療の基盤を強化できる解決策として評価を得ていた。

医療ビルの特徴は、その安定性にある。一般のテナントビルと異なり、20年30年という長期の安定経営が見込める。そのため、投資目的や資産運用の観点からも注目を集めていた。

しかし、濵田が開業医を主な対象としていた理由は別にあった。それは、医療が持つ社会的価値の大きさである。長年地域医療に貢献してきた診療所が、より充実したサービスを提供できる場として生まれ変わる。その過程に関われることにやりがいを感じていた。

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