開業医が知るべき節税対策の必須ポイント ~節税で経営を安定化~
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こんにちは。医院継承(承継)、クリニック売買、医療法人M&Aのメディカルプラスです。
今回は開業医の節税対策をテーマに記事を展開してまいります。
開業医が知っておくべき税金の基本
開業すると、勤務医時代とはまた異なる目線で見ることになるのが「税金」です。開業当初はさほどではないものの、クリニック経営が軌道に乗り始めた頃には、一度は「税金の負担が高すぎるのではないか」という疑問が生じた先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
では「ほかの開業医の先生はどうしているのか」と思っても、安易に聞くことの難しい話題でもあるかと思います。ここでは「合法でできる限り税金の負担を抑える」節税の方法について、お伝えいたします。
開業医が直面する3つの税金の種類とその対策
まず開業医に関わる3つの税金について、簡単に触れておきます。
1. 所得税(国税)
「所得税」は、累進課税方式の国税です。10種類の所得区分の所得金額(収入金額から経費等の控除額を除いた額)に対し、所得金額に応じた一定の税率(5%~45%)を乗じた額を納付します。課税総所得額が、900万円超~1,800万円以下は33%、1800万円超~4,000万円以下は40%、4000万円以上は45%がそれぞれ課税されます。年を追うにつれ、所得税率は上昇し続けています。
2. 住民税(地方税)
「住民税」は、比例課税方式の地方税です。所得金額に対して一定の税率(全国ほぼ一律で10%。例外地域もあります)を乗じて得られた額を納付します。
3. 事業税(地方税)
「事業税」は、比例課税方式の地方税です。事業所得(所得税で説明した10種類の所得区分の1つ)から290万円(事業主控除)を除いた残額に、職種区分ごとに定められた一定の税率(医業は第三種に該当し、税率は5%)を乗じて得られた額を納付します。
このように税金を体系立てると、収入金額から経費等を控除した所得金額をベースに各種税金が課税されていることがわかり、そしてさらには所得税の負担が圧倒的に重いという事実が見えてきます。すなわち節税のポイントとなるのは、所得金額を抑えて「経費を細大漏らさず計上」することである、とご理解いただけると思います。
開業医のための経費計上と節税のコツ
このように「経費として認められるものを細大漏らさず計上」することが、節税をする上でのポイントで、「きめ細やかに計上しよう」という自身への意識づけが大変重要になります。下記費用等は経費として認められるものです。これらを確実に集計し経費計上することで、節税効果を最大限に得ることができます。見ていきましょう。
●交際費
業務上必要な接待や慰労、金品の贈答にかかる費用です。現在の取引相手だけではなく、将来取引を行う可能性がある人や、スタッフの接待も含まれます。業務上、明確な関連性のない人であっても、情報交換が目的であれば交際費に含めることができます。
●福利厚生費
医療スタッフ等従業員の福利厚生に要した費用です。なお、スタッフ全員に支出したものだけが福利厚生費として認められ、特定のスタッフ個人に支払ったものは、給与と考えられますので注意が必要です。
●仕事上不可欠なもの
仕事を進めるうえで必要な支出は経費の対象となります。また「自宅で仕事」をする先生であれば、自宅に置くパソコンやテレビ、机やイスなども経費にすることが可能です。また戸建て開業で自宅を兼ねる場合でも、家賃や光熱費を面積比率などの合理的な基準に基づき、部分的に経費として計上することができます。
●個人事業税
2番目の章「開業医に関わる3つの税金について」にて説明した「事業税」ですが、じつはこれも経費に算入することが可能です。個人事業税はかならず事業所得の必要経費として、経費計上するようにしましょう。
●その他
青色申告による特別控除、小規模共済への加入(掛金が所得控除になる)、国民年金基金への加入(掛金が所得控除になる)、30万円以下の少額資産(機械・備品)の購入費用(年間300万円まで購入時の経費)、診療報酬の未収入金に対して貸倒引当金設定額などがあります。
開業医が節税対策を行う際の注意点
ここまで節税対策の方法についてお伝えしてきましたが、最後に節税を考えるうえでの注意点をお話させていただきます。
節税とはあくまで合法範囲にて賢く納税額を圧縮する行為です。過度な納税額の圧縮行為は、脱税行為とみなされ、処罰の対象となることがあります。架空経費を計上する、収入があったにもかかわらずそれを隠蔽する、関係書類を改ざんするなどを行うと「所得隠し」と呼ばれる脱税行為になってしまいます。
また過度に交際費を計上した結果、これが否認されれば結局自己資金によって、否認相当額負担することにもなります。こうした本来の趣旨を外れた行為は、クリニック経営の悪化を招き税務調査の対象ともなりかねません。節税は法律の枠内で認められた健全な行為として行わなければならないという点を、強く意識するようにしましょう。
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