勤務医と開業医の平均年収について
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こんにちは。メディカルプラスです。
以前、弊社コラムにて「開業医の手取り年収ピークは開業何年後か?」というテーマについてお伝えしましたが、令和3年11月に厚生労働省より、新たに第23回医療経済実態調査が公表されましたので、開業医と勤務医それぞれの平均年収が前回調査からどのように推移しているか?ということについてお伝えしていきたいと思います。
開業医と勤務医の平均年収の比較と推移
まず前回のコラムの参照データである第22回医療経済実態調査から見ていきたいと思います。こちらの調査結果は令和元年11月に公表されておりますが、開業医の平均年収は2,807万円、勤務医の平均年収は1,491万円となっております。その差額は1,316万円となっており、開業医は勤務医の約1.88倍の報酬を得ていることになります。開業医と勤務医それぞれの平均年収から所得税、住民税、社会保険料控除後の手取り額で見てみると、開業医の手取り金額が約1,675万円、勤務医の手取り金額が約1,015万円となり差額は660万円です。開業医は勤務医の約1.65倍の手取り所得を得ていることになります。
続いて令和3年11月に公表された第23回医療経済実態調査を見てみたいと思います。令和3年度の調査報告では、開業医の平均年収は2,729万円となっており、前回調査より78万円減少(▲2.77%)しています。勤務医の平均年収は1,467万円となっており、前回調査より24万円の減少(▲1.60%)し、開業医、勤務医ともに年収は下がっているものの、減少幅は開業医の方がより多いことがわかります。開業医の方が年収の減少が顕著ではありますが、それでも開業医は勤務医の約1.86倍の年収を得ていることになります。
開業医の平均年収が減った理由とは?
医療経済実態調査は2年ごとに行われますが、前回から今回の調査にかけて起きた大きな変化として、新型コロナの流行があります。新型コロナの感染を避けるため多くの患者が受診控えをしたため、多くのクリニックで売上が減少しました。クリニックの売上が減少したことが、開業医の年収減少につながった大きな要因であることは間違いないでしょう。
その後、ワクチン接種や発熱外来により、売上が回復しているクリニックも多いようですが、それでもまだ一般診療ではコロナ前の水準までは戻っていないクリニックも多く、4月の診療報酬改定と合わせ今後もより一層の経営努力が求められます。
クリニックの売上推移
医師の年収に続いて、クリニックの売上推移についてみていきたいと思います。
病床なしの個人開設クリニックでは、新型コロナ関連補助金を除く、前年度全国平均売上は8,152万円(前々年対比▲7.6%)、病床なし医療法人開設クリニックでは、14,359万円(前々年対比▲4.5%)、個人と医療法人を含む全体平均では13,047万円(前々年対比▲5.1%)となっています。こちらのデータより開業医の年収の減少よりも、売上の減少の方が大きいことがわかります。
開業医の年収が減ったといっても勤務医年収の1.8倍
ここまで開業医と勤務医の平均年収の推移についてお伝えしてきました。新型コロナの影響により、開業医の年収は減少しましたが、それでも開業医は勤務医の1.86倍の平均年収を得ています。現在の年収に満足していない、今後キャリアップして年収を増やしていきたいとお考えのドクターは、勤務医を続けながら年収アップを目指すこともできますが、より早く年収アップを実現するなら、開業医になるという選択肢が年収アップの一番の近道であるといえます。もちろん開業医には勤務医とは異なるマネジメント苦労や財務面の苦労もありますし、必ずうまくという保証はありません。下手すると勤務医のころより年収が下がり、最悪のケースでは廃業、倒産という可能性さえゼロではありません。
医院継承でリスクを抑え年収アップを実現
医院継承では、既にあるクリニックの実績と信用を引き継いで開業することができます。
前院長時代の実績があるため、開業後の集患に苦労することなく、来院患者数や売上を予測することができ、開業初月から利益を得ることができます。もちろん医院継承した後、売上を維持し、増やしていくためには経営努力が必要となり、その点は新規開業も医院継承も変わりませんが、新規開業後に一番苦労する集患の苦労をせずに開業スタートできるということは、開業リスクを抑える医院継承の大きなメリットです。
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