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医院継承(承継)、クリニック売買、医療法人M&Aのメディカルプラスです。
今回の記事では、クリニックの閉院・廃院を視野に入れている開業医の院長先生向けに、「医療機器の処分方法」について具体的にご説明いたします。
クリニックの運営には、日々多くの課題がありますが、開業から数年、あるいは数十年後、クリニックを閉院するという選択を迫られることもあります。後継者不足や経営的な理由、あるいは自分自身のライフプランの変化に伴い、閉院の決断を下すことは少なくありません。その際の医療機器の処分は、閉院に伴う大きな課題のひとつです。医療機器は高価な設備であり、導入時には慎重な検討が行われる一方、不要になった際にはどうするべきかが問題になります。また、医療機器の中にはリサイクルや再販売が可能なものもあるため、適切に処分することで費用面での負担を軽減することが可能です。
本記事では、クリニック閉院時の医療機器処分に関する具体的な方法や注意点、信頼できる業者選びの基準、さらに販売にかかる費用についてを解説いたします。スムーズなクリニック閉院を実現するために、ぜひご一読いただけますと幸いです。
医療機器の処分方法
クリニックで使用している医療機器の処分方法には、いくつかの選択肢があります。それぞれの方法には特徴やメリットがあり、クリニックの状況や機器の状態に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
➀. 廃棄処分
使用できなくなった医療機器や老朽化により再利用が難しい医療機器は、「廃棄処分」が一般的な方法となります。ただし、医療機器は電気・電子機器リサイクル法(通称「電リ法」)の対象になる点と医療機器は有害な物質を含んでいることもあるため、専門的な処理が必要となりますのでご注意ください。そのため、行政や専門業者に依頼し適切な手続きを踏んで廃棄することが求められます。
➁. リサイクルや再販
医療機器は、総じて高価な投資となるため、他のクリニックや医療機関で再利用されることもあります。特に、購入から数年経過した耐用年数が残っている医療機器や高価な精密機器は、中古市場でも需要が高く、廃棄せずに再販するケースもありますのでクリニックにとっても医療機器を買い取っていただけるのであれば、一定の収益を得ることができます。
➂. 寄付
発展途上国の医療機関やNPOなどに医療機器を寄付することも一つの選択肢です。リサイクルや再販で買い取りをしていただける医療機器であっても社会貢献の一環として寄付を希望される場合は、専門の寄付団体に依頼することで実現可能ではありますが、社会的責任ある法人として信用できるか慎重に検討した上で適切な判断を行うことが必要です。
処分時の注意点
医療機器の処分の際は、いくつかの重要な注意点があります。下記に記載いたします注意すべき点をしっかりと把握しておくことで、トラブルを回避しスムーズな処分を実現することができます。
➀. 法的な規制を遵守する
医療機器の処分(販売)には、法律や規制が関わることが多いため、これらを遵守することが非常に重要です。感染性廃棄物や有害物質を含む医療機器の処理についてはきまりがあり、環境汚染や人体への健康被害への注意も多く、また医療廃棄物に関する法律や規制などへの専門的な知識も必要です。
適切な処理を行わないと罰則が課される場合もあります。廃棄物処理法などの法律に違反すると罰金や懲役などの罰則が適用される可能性があり、また廃棄物排出事業者としての責任として、適切な処理を行う義務があるのです。
➁. 個人情報やデータの処理
医療機器には、患者さんの個人情報や診療データが保存されているケースもあります。その中でも、電子カルテシステムやレントゲン機器、エコー機器などデータ保存が可能な医療機器については、医療機器を処分する際には保存済みの個人情報データを正しく削除するか、専門業者へデータ削除を依頼することが必要になります。
➂. 機器の安全な取り扱い
医療機器の中には、取り扱い自体に注意を払うべきものも多くあります。機器の取り扱い方法については、取扱説明書やメーカーの指示を確認し、正しい廃棄方法を選択しましょう。
➃. リース契約中の機器
医療機器をリース契約で導入している場合は、所有権がリース会社にあるため、院長先生ご自身の判断で自由に処分することはできません。必ずリース契約の内容を確認し、リース会社と相談することが重要です。また、リース契約書の内容を把握し、医療機器の処分に関する規定を確認してください。契約期間、残存リース料、解約手数料、医療機器の返却方法などが記載されています。
● リース契約の期間満了まで継続 | 契約期間が短い場合は、期間満了まで使用し、その後リース会社に返却する方法が一般的です |
● 中途解約 | 契約期間中に解約する場合は、違約金が発生することがあります。 |
● 医療機器の譲渡 | 第三者に譲渡する場合は、リース会社の同意が必要となります。 |
信頼できる業者の判断基準
医療機器の処分(買取り)をスムーズに行うためには、信頼できる業者を選ぶことが大切です。業者選びの際に注意すべきポイントをご紹介します。
➀. 実績と専門性
医療機器の処分(販売)には、専門的な知識と経験が必要です。信頼のおける業者は、医療機器の処分(販売)に関する豊富な実績を持っていることが多いため、過去の作業事例や販売先経路などを確認する。また、医療機器の買取りに関する専門的な資格を持つスタッフが関わっているかどうかも、業者選びの一つの判断基準となります。
➁. 適正な処分(販売)手続き
医療機器の処分(販売)には法的な規制があるため、依頼先業者が医療機器に伴う法的な規制を遵守していることを確認することが重要です。依頼先業者が適切な手続きを行っているか、廃棄の処理方法が法律に準拠し、廃棄する方法が法律で定められた基準を満たしているかを確認しましょう。
➂. コストパフォーマンス
医療機器の処分(販売)には当然のことながら費用がかかります。前述でお伝えした通り、医療機器の処分(販売)には法的な規制があるため、依頼先業者を決定するのに価格だけで選ぶのはリスクがあります。複数の医療機器の処分(販売)業者へ依頼を行い、処分(販売)に対する見積りを依頼し、サービス内容を比較検討することをおすすめします。
費用について
医療機器の廃棄処分費用は、機器の種類、サイズ、状態、廃棄方法、業者によって大きく変動します。正確な費用については、実際に業者に見積もりを依頼する必要があります。ここからは費用面について見ていきましょう。
➀. 廃棄処分にかかる費用
機器の種類、サイズと重量、状態、廃棄方法、業者や処理に必要な手続きの複雑さによって異なり、数万円以上かかることもあります。
● 機器の種類 | X線装置、CTスキャナー、MRI、内視鏡、超音波診断装置など、機器の種類によって費用が大きく異なります。大型で複雑な構造の機器ほど、処分費用が高くなる傾向があります。 |
● サイズと重量 | 機器のサイズと重量が大きいほど、運搬や解体作業に手間がかかり、費用も高くなります。 |
● 状態 | 使用年数や損傷の程度によって費用が変動します。古い機器や故障している機器は、処分費用が高くなる場合があります。 |
● 廃棄方法 | 廃棄方法の種類として①リサイクル②リユース③解体④埋め立てなどがあります。それぞれの方法によって費用が異なります。 |
● 業者 | 技術力や実績、サービス内容が異なるように費用も異なります。複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することが重要です。 |
➁. リサイクルや再販による収益
リサイクルや再販を行う場合、処分費用を削減できることがあります。使用期間も短く使用可能な耐用年数が残っている医療機器は、再販業者に買い取ってもらう事で逆に収益となることがあります。可能であれば、リサイクルや再販を検討することで、コスト面での負担が軽くなるでしょう。
➂. 寄附にかかる費用
医療機器を処分(販売)する場合は一般的に、廃棄費用や運搬費用などが発生します。しかし、寄付として医療機器を譲渡する場合においては、廃棄費用や運搬費用の負担を免除されるケースがあります。また、寄付を行う場合は、医療機器のクリーニングや梱包などの最低限の準備費用は自己負担となりますが、処分(販売)する場合に比べて、大幅に費用を抑えられることがあります。
もし発展途上国の医療機関やNPOなどに医療機器を寄付することが可能な医療機器がありましたら、処分費用を抑えながら社会貢献してみてはいかがでしょうか。
まとめ
クリニック閉院時の医療機器の処分は、法的な規制やコストの問題が絡むため、慎重に進める必要があります。 また、適切な方法を選択し信頼できる業者と連携することで、スムーズな閉院を実現することができますが、クリニックを閉院するのではなく、第三者へ継承する選択肢もご検討いただき、閉院する費用負担ではなくクリニック経営者としての創業者利益をお手にすることを選択されることをおすすめいたします。
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