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こんにちは。メディカルプラスです。
医師は医師免許を持っている限り生涯現役働くことができ、また自分自身で引退時期を決めることが可能な職業ですが、どのくらいの年齢がボリュームゾーンで、またどのくらいの年齢で職業人生からの引退を考えるのでしょうか。今回の記事では、高齢化が進んでいると言われている医師の平均年齢をみるとともに、クリニック後継者問題とその関連性についてみていきたいと思います。
そもそも医師に「定年」はあるか
「定年」という言葉は、“組織が規定によって定めた労働者の退職年齢”をさします。よって公務員や民間病院に雇用されている、つまり組織所属の勤務医の場合は、その組織が規定であらかじめ定めている年齢に達したら退職することになります。勤務医キャリアの最終到達点が定年といえるでしょう。しかしそれはあくまで所属する組織からの定年退職であり、「医師という職業からの現役引退」とは異なるものです。組織からの定年退職をもって、医師という職業人生の引退を考える先生もいれば、その後も医師として何らか活躍したい先生もいます。
医師の働き方は勤務医と開業医に大別されますが、ここでまず働き方と所属する組織・機関により「定年」がどう定められているかをみていきましょう。
定年:公務員(勤務医)の場合
国立・県立などの国公立病院で働く医師は、公務員の勤務医になります。独立行政法人国立病院機構(NHO)の公開パンフレットによると、公務員勤務医の定年を65歳と定めており、「60歳定年・プラス再雇用制度で5年継続雇用、65歳になると完全退職」、もしくは「65歳で定年退職」、この2つのパターンいずれかを採用していることが多いようです。この国立病院機構では、医師確保が困難な病院等で最大70歳まで勤務する独自の定年延長制度「シニアフロンティア制度」が設けられているなど例外もありますが、おおむね65歳あたりを定年のイメージと考えて良いでしょう。
定年:民間病院(勤務医)の場合
民間の病院で働く医師の場合、その病院の規則に準じます。定年制度を定めているケースとそうでないケースがあり、定年が設けられている場合では公務員同様60〜65歳である事が多いと言われています。近年では定年制度も多様化しており、その病院でキャリアアップして、院長など経営に近しいポジションで組織の定年を迎えた場合は、引き続き勤務していることもあるようです。
定年:開業医の場合
開業医には定年はありません。自身の裁量で引退時期を決めることが可能です。体力の低下を理由に、手業を駆使するような医師業から完全引退をして別の院長に任せ、自身はクリニックの経営者にシフトするなど、引退のタイミングや働き方を自由度高く決めていくことができます。
それではこの働き方別の定年イメージを頭に置きながら、医師全体の平均年齢についてみていきましょう。
医師の高齢化は年々進んでいる
厚生労働省の統計資料によると、令和4年(2022年)12月31日時点の日本国の医師数は、34万3,275名となっています。この医師数を母数とし医療機関や施設等の区別なくみると、医師全体の平均年齢は50.8歳となっています。ここ数年は平均年齢50代が続いており、日本国では医師全体の高齢化が年々進んでいるさまがみてとれます。以下のグラフからもそのさまが見て取れます。
*出典 厚生労働省:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/dl/R04_toukeihyo.pdf
平均年齢から見る「勤務医」の高齢化
つぎに病院勤務医の平均年齢について、グラフと合わせてみていきましょう。厚生労働省の統計資料によると、令和4年(2022年)12月31日時点の日本国の病院医師数は220,096名です。先述のとおり公務員や民間病院の定年は「60歳定年・プラス再雇用制度で5年継続雇用、65歳になると完全退職」、もしくは「65歳で定年退職」という形が一般的で、さらに厚生労働省では65歳までの雇用義務にくわえて70歳までの定年延長を推進中です。ただ現実では勤務医のボリュームゾーンは体力充分な30代40代で、ベテラン年齢層になるほど人口は緩やかに減少しています。全体的に医師の高齢化が進んでいるとはいえ、最新の統計では病院で働く医師の平均年齢は45.4歳と、後述する診療所のケースと比較し15.0歳若い結果となっています。
*出典 厚生労働省:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/dl/R04_toukeihyo.pdf
平均年齢から見る「開業医」の高齢化
次に診療所で働く医師の平均年齢について、グラフと合わせてみていきましょう。厚生労働省の統計資料によると、令和4年(2022年)12月31日時点の日本国の診療所医師は107,348名で、そのうち約7割弱の72,360名が「診療所の開設者又は法人の代表者」です。定年という明確な区切りのない開業医の世界では高齢化が進みやすく、くわえて後継者探しの困難もあり、健康や環境が許す限り現役で働く開業医の姿が見えてきます。この最新統計では診療所で働く医師の平均年齢は60.4歳で、その10年前の平成24年(2012年)の58.7歳と比較すると、1.7歳高齢化しています。また年齢別割合に注目すると令和4年(2022年)では、60〜69歳が全体の29.7%(31,845人)、70歳以上が全体の23.0%(24,699人)と、ベテラン年齢層が全体の半数以上を占めています。
*出典 厚生労働省:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/dl/R04_toukeihyo.pdf
開業医の後継者不在が医師高齢化の一因に
地域貢献度高いクリニック、かつ盛業中で黒字経営であるにも関わらず「後継者不在のために将来の廃院を余儀無くされている」といったご相談の多さに、弊社でも後継者不在の深刻さを実感しています。帝国データバンクによる調査「医療機関の休廃業・解散動向調査」(2023年) では、診療所の休廃業数580件に対し、赤字経営による倒産は28件となっています。後継者問題を抱えながらも現役で頑張る医師が多く、しかも親子継承ではない「クリニック第三者継承」という選択肢があることを知らずに無理をしている開業医も、少なくないと感じております。
*帝国データバンク:医療機関の「休廃業・解散」 動向調査(2023年度)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p240407.html
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弊社では開業医の皆さまに、早めにクリニックの将来について考えはじめることをおすすめしています。廃業にはコストがかかり、また身近な医療機関としてクリニックに通う患者さんにとって不利益で、クリニックで地域医療を支えていたスタッフの雇用も失われます。弊社では医院の譲渡・譲受に関する無料相談を随時実施しておりますので、後継者問題でお悩みの方、開業を検討中の方、第三者継承について知りたい方は、お気軽にこちらより【✉お問い合わせ】お問い合わせください。
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