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最終譲渡契約(DA)とは?クリニックM&A成功の鍵を簡単に解説

  • 医療継承コラム

こんにちは。メディカルプラスです。
本日は「最終契約書(DA)」についてお伝えいたします。以前のコラムで「基本合意契約」についてご説明いたしましたが、基本合意契約と最終契約の違いに触れながら、最終契約書とは何かということから重要なポイントについて、網羅的に説明いたします。クリニックM&Aをご検討中の方の参考になりましたら幸いです。

最終契約書(DA)とは:基本合意契約(MOU)との違い

最終契約書(Definitive Agreement、DA)とは、クリニックM&Aにおいて売手側と買手側双方が最終的に合意した内容について文書化した契約書を指します。基本合意書(MOU)が初期段階で売手側と買手側双方の意向を大まかに確認し、M&Aを最終契約まで進める意向を表明するものに対し、最終契約書(DA)は具体的な取引条件を定め、法的拘束力を持つ非常に重要な契約書であり、クリニックM&Aが円滑に進み、トラブルを未然に防ぐためにも不可欠な存在となります。

クリニック継承・M&Aにおける「基本合意書(MOU)」の役割を解説!

最終契約書(DA)に含まれる主な項目と詳細事項

最終契約書(DA)に含まれる主な項目は以下の通りです。


【取引の基本条件】
● 譲渡する対象クリニックの名称、所在
● 売却価格、支払時期、支払方法
● 譲渡資産:(内装造作、医療機器、什器備品、医薬品、不動産など)、負債(リース契約、保守契約など)
● クロージング日


◆表明保証
【売手側】
クリニックの財務状況や法的問題、労使間などについて、一定の事項を保証します。
● 財務状況
貸借対照表及び損益計算書並びに確定申告書などの会計書類が正確かつ適法に作成さ
れていることや隠された負債がないことなどを保証します。
● 法的問題
クリニックの開設・運営・管理に必要なすべての許認可及び届出等が適法かつ有効にされており、訴訟や仲裁、行政処分がないことなどを保証します。
● 従業員
対象クリニックに従事する従業員との間で対象クリニックに関連する紛争、トラブルなどは存在せず、今後の発生もないこと。また、従業員の労働状況等について、売手側は行政機関から指導、勧告等を受けたことがなく、従業員への未払残業代等の簿外債務が一切存在せず、労働契約が有効であることなどを保証します。

【買手側】
契約履行能力や資金支払能力などについて、一定の事項を保証します。
● 契約履行能力
《個人医師》
対象クリニックの運営を行うために必要な全ての権能および権限を有していることなどを保証します。
《医療法人》
適法かつ有効に設立されており対象クリニックの契約締結履行に関して、法令や定款その他法人内部の規定上必要とされる全ての手続きが実行されていることなどを保証します。
●資金支払能力
支払不能または、支払停止に該当する事実や破産、民事再生、会社更生、特別清算などの倒産手続の開始事実や懸念もないことを保証します。

表明保証を設けることで、売手側と買手側双方の信頼関係を深め、より安全かつ円滑な取引を実現することができます。


◆誓約
売手側と買手側が、最終契約締結後に行うべき行為や禁止事項などを定めます。
● 情報開示義務
売手側は、契約締結後クロージング日までに買手側にクリニックの運営に必要となる業務の引継ぎと資料や書類、電磁的記録において提供することを誓約します。
● 競業避止義務
売手側が、一定の期間と範囲内で譲渡したクリニックと競合する事業を直接、間接とはず一切行わないことを誓約します。


◆クロージング実行の前提条件
売買契約が成立する(クロージング)ための条件を定めます。
● 表明保証事項において真実かつ正確であること。
● 売手側が医療法人の場合、社員(従業員ではない)全員の合意が取れている旨の議事録が交付されていること。
● 金融機関の融資を実行できる状態であること。


◆損害賠償
売手側もしくは、買手側のどちらかに義務違反または表明保証違反などがあった場合に、相手方が被った損害を賠償する条項を指します。

最終契約書(DA)作成時の注意点:トラブル防止のために

最終契約書(DA)の作成は、専門知識が必要な作業です。弁護士などの専門家と協力して、以下の点に注意しながら作成を進めることが重要です。

【条文の解釈】
法律用語は専門性が高く、難しい表現で記載されていることが多いため、誤解のないように、条文の解釈について弁護士や専門家に確認することをお勧めいたします。

【リスクの洗い出し】
クリニックM&Aには様々なリスクが伴います。契約書に盛り込むべきリスク項目を漏れなく洗い出し、対応策を検討することをお勧めいたします。

最終契約書(DA)締結後の流れと留意点

最終契約書(DA)が締結されると、クロージングに向けた手続きが開始されます。クロージングが完了すると、譲渡契約が正式に成立し、クリニックの経営権が売手側から買手側へ移転します。締結したらそこで終わりではなく締結後も、以下の点にご注意ください。

①. クロージング条件の達成
不測の事態が起こらないためにも、クロージング条件が全て満たされているか、満たすために業務が滞りなく進んでいるかを定期的に確認することをお勧めいたします。

②. 表明保証に関する対応
売手側もしくは、買手側から表明保証に関する虚偽もしくは不正確な表示または重要な事実についての秘匿が判明したときは、相手方に対し事実を報告し、早急な対応で是正することをお勧めいたします。

③. 税務処理
クリニックM&Aに伴う税務処理はある日を境に売手側と買手側で債権債務の帰属先が変更となり、非常に複雑となりますので税理士に相談し、適切な手続きを行っていただくことをお勧めいたします。

クリニックM&Aのクロージングとは?手続きの流れと必要書類を徹底解説!

まとめ

いかがでしたでしょうか。最終契約書(DA)は、クリニックM&Aの成否を大きく左右する非常に重要な文書であることをおわかりいただけたと思います。成功するクリニックM&Aを実現するためには、売手側と買手側双方が納得できる契約内容であることが一番ではありますが、売手側、買手側双方で表明及び保証する内容について誤りがあった際の対処方法についてもあらかじめ定めておくことでトラブル防止となり、円滑なクリニックM&Aを実現できることになりますので最終契約書(DA)の作成時には、弁護士や専門家に相談しながら進められることをお勧めいたします。

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