クリニック開業支援コンサルティング

メディカルプラスは、「ドクターの志と思いを形にし、目標を実績に変える。」をコンセプトに、
徹底的に開業するドクターの立場に立った支援を致します。

私たちメディカルプラスの開業支援に対するスタンスは、ドクターにとって開業はゴールではなく、あくまでスタートだと考えています。ドクターが目指す医療の実現と、経営面における収益制確保、この双方を達成することを成功と定義し、ドクターの成功実現までサポートさせていただくことが当社の使命であると考えています。

開業後、定期的に当初事業計画と実績を照らし合わせ、計画通りでなければ、原因を分析し、対策を講じて実行します。そして再度検証するというプロセスを結果が出るまで継続して実行します。

【1】コンセプト立案

まずは、開業への「思い」や「ビジョン」をお聞かせください。

開業の動機、開業の時期、どんな診療をしたいか、ご家族の関わり方、開業時期、ご希望の開業場所や開業形態などをお聞かせいただきます。ご希望をお伺いする過程において、ドクターの開業に対する「思い」を整理して深めていきます。お伺いした内容をもとに最適な開業プランをご提案させていただきます。場合によっては、開業場所や開業形態など当初のイメージとは全く異なった開業をされるケースもあります。

「思い」や「ビジョン」を
お聞かせください。

【2】物件選定

診療方針や開業形態などのコンセプトが決まると、次は開業物件の選定です。開業物件は開業後の収益に大きく影響しますので慎重に決める必要があります。

良さそうな候補物件が見つかれば、診療圏調査を実施します。
診療圏調査とは、国勢調査や市町村が公表しているデータから診療圏内の人口を算出し、そこに厚生労働省が3年に一度実施する患者調査の「受療率」を掛け、その数字をエリア内の競合医院の数で割ることにより、1日当たりの推定患者数を求めます。診療圏調査の注意点として、診療圏調査の数字はあくまでもデータで求めた理論上の数字であり、実際に現地に足を運んでみると、診療圏調査のデータと実態は異なっていたということが多々あります。

例えば、

  • 診療圏調査では商圏設定が円形だったが、実際は幹線道路や線路、河川などで商圏が分断されていて実際の商圏は半分程度しかなかった。
  • 日中の昼間人口を基に推定患者数を出していたため、実際の地域居住人口である夜間人口は少なかった。
  • 診療圏調査では良いデータが得られたが、実際の現地に行くと、物件は奥まった場所にあり、とても視認性が悪かった。
  • 競合医院の院長は高齢のため、週2〜3日程度しか診療していなかった。
  • 競合医院と思っていた医院が、複数の診療科目を標榜しており、実質的な競合医院ではなかった。

など、実際に現地に足を運んでみて初めて得られる情報がたくさんあります。物件を選ぶ際は、診療圏調査のデータだけで判断するのはとても危険です。当社が物件選定をご支援させて頂く際は、競合医院に足を運び、診療内容や導入医療機器、地域での評判なども調査します。また、ドクター自らも現地に足を運び、近隣の人の流れや最寄り駅からの距離など、現地の雰囲気を肌で感じることが大切です。

物件は診療圏調査を過信せず、
現地で得た情報と感覚を大切に

【3】事業計画の役割

開業物件が決まると、次は事業計画の策定です。

事業計画の作成には、大きく3つの役割があります。

事業計画の役割① クリニックのビジョンや理念、開業の動機、診療内容などを整理し、物件や医療機器にかかる初期費用、借入返済金など具体的な数字に落としこみ、診療圏調査で得た客観的データと現地調査で得た情報に基づき、事業が成立するかを検証する役割
事業計画の役割② 金融機関から資金調達するために、当事業が客観的に見て十分に成立することを証明する根拠資料としての役割
事業計画の役割③ 開業後の事業経営の羅針盤としての役割

事業計画には上記3つの役割があり、ドクターの「開業への思い」と「経営面での収益性」の両面から十分に検証し、金融機関等の第三者から見ても、十分な裏付けと説得力ある事業計画となっていなくてはいけません。

事業計画の骨子策定

【4】事業計画作成の重要なポイント

事業計画を作成する上で重要なポイントが2つあります。

  • (1)収支予測が甘い計画になっていないか?
  • (2)開業当初の設備資金はなるべく抑え、運転資金はゆとりを
    持った計画となっているか?

事業計画はあくまで未来の予測数字なので、数字を調整し、見栄えが良い事業計画を立てようと思えば、簡単に作ることができてしまいます。例えば開業支援コンサルティングを無料で行う会社もありますが、開業支援を無料で行う代わりに、医療機器や備品などはその会社から購入することになります。もちろんドクターの開業成功を一番に考えた信頼できる事業計画を作る会社もありますが、開業支援を無料で行う会社が作成した事業計画の中には、医療機器や備品を販売するために、事業計画ありきでかなり甘い見通しの事業計画になっているケースもありますので注意が必要です。

業者が作った事業収支計画をそのまま鵜呑みにせずに、疑問に思うところはすべて確認し、自分でその数字の根拠をしっかりと検証し、第三者に対し、自分の言葉で事業計画を説明できるまで理解を深めてください。場合によっては計画の見直しが必要となるケースもあります。

事業計画は希望値ではなく、
実現可能な計画を立てましょう。

【5】設備資金と運転資金

内装や建物などにかかる建築コストや医療機器などの設備にかかる初期コストはなるべく抑えることをお勧めします。クリニック開業に限らず、他の事業においても同様ですが、事業成功の秘訣は初期投資を抑え、小さく生んで大きく育てることです。もちろんとにかくコストを抑えれば何でも良いというわけではありません。ドクターの診療方針に合う患者の来院が多数見込める物件や、競合医院との差別化のために導入する医療機器など、医院経営の戦略上必要な投資は思い切って行うという経営判断も必要です。そこで大事な視点は、事業戦略上本当に必要なものの優先順位をつけ、あれもこれもではなく、あれかこれかという視点を持つことです。医療機器で大きな投資をした場合、例えば患者の目につかない、院長室やスタッフルームの什器や家具類、あるいは最低限の機能があれば良い医療機器等は中古品を採用するといった方法も選択肢の一つです。

一方、運転資金はなるべくゆとりをもち、多めに用意しておくことをお勧めします。開業後、経営が軌道に乗るまでの間、必要な資金は運転資金から支払っていきますが、毎月運転資金が減っていくのは、大きな精神的ストレスが掛かります。このような不安から、本業である医業に腰を据えて取り組むことができなければ本末転倒です。運転資金もなるべく抑えて、足りなければ金融機関から追加融融資を受ければよいのでは?と聞かれることがありますが、ここで注意が必要です。開業後、運転資金の追加融資の依頼をすると、金融機関からは「そもそも事業計画の見通しが甘かったのではないか?経営者として資質に問題があるのではないか?」といった見方をされてしまいます。

経営が予想よりうまくいかなければ、追加融資を受ければいいという考えは危険です。むしろ開業後の運転資金の追加融資は受けることができないくらいのつもりでいた方が良いでしょう。

逆に、経営が順調に軌道にのり、新しい医療機器導入のための設備資金、スタッフ増員に必要な運転資金など事業拡大に伴う将来への投資であれば、金融機関は喜んで融資に協力してくれるでしょう。

以上の理由から運転資金はゆとりを持った計画にし、事業が軌道に乗り、運転資金が不要になれば繰上げ返済することや、住宅ローンなどの返済に充ててしまうこともできます。運転資金にかかる金利負担は開業後の安心料だと思えば安いものです。

「設備資金は抑え、運転資金は
なるべく多く」が大切です。

【6】開業後の実績と事業計画の検証

開業してしまうと日々の忙しさで、つい忘れてしまいがちなのが、開業前の事業収支計画と開業後の実績との比較です。開業前の予測来院患者数と比較して1日当たりの来院実績はどうか?

もし計画より少なければ、なぜ少ないのか?来院患者の居住エリア分布はどうか?近隣にも関わらず来院数が少ないエリアはないか?など検証することにより、認知度が低いエリアを特定して看板を出したりすることが可能となります。また、薬剤の仕入れ金額や検査外注費、労務費なども事業計画と実績を比較して数字を把握しておくことが大事です。実績を把握をすることで問題点が明確になり、対策を講ずることが可能になります。

開業後しばらくして、看護師を募集してもなかなか集まらないというご相談を受けますが、近隣の競合医院の給与や福利厚生など募集条件を把握することも大切です。

経営が順調にいっているから細かい数字を把握する必要はない。という考え方では医院経営者として十分ではありません。結果には、必ず原因があります。順調でもそうでなくても、その結果になっている原因を把握できている場合と、そうでない場合では、取るべき対策の精度も違えば選択肢の数も違ってきます。

「彼を知り、己を知れば百選危うからず」という中国古典の言葉にもあるように、競合医院の特徴をよく理解し、自院の強みや弱みを把握した上で、とるべき方策を考える視点を持ちましょう。

実績を把握・検証し、
対策を考えて実行します。

【7】開業後の資金繰りを考慮した資金調達

事業計画ができたら、次は金融機関からの資金調達です。
資金調達の条件は開業後の資金繰りに関わる非常な重要な部分です。
資金調達で重要なポイントは2点です。

  • (1)返済期間はなるべく長く
  • (2)元金据置き期間はできるだけ長くもうける

以上2点が資金調達における重要ポイントです。融資条件というと、まず金利を気にされる方が多いですが、金利よりも、上記2点の調達条件の方が開業後の医院経営に大きく影響してきます。

返済期間

それでは、まず返済期間から見ていきましょう。
一般的に設備資金には融資対象となる設備の法定耐用年数が融資期間の上限となる概念があります。法定耐用年数とは、国が定めたその対象となる設備の価値が毎年減少し、その価値がゼロになるまでの期間のことです。この耐用年数はあくまで税法上の概念であり、法定耐用年数が経過したからと言ってその設備がもう使えなくなるということではありません。

対象設備によって耐用年数は様々で、例えば、木造建物(病院用の建物)は17年、医療機器はものによって違いますが、おおよそ5年〜7年程度のものが多いです。また建物でも、鉄筋コンクリ―トの場合は39年(病院用の建物)など構造によって大きく変わります。テナント開業の場合、内装工事の耐用年数は一般的に10年〜15年となります。

新規開業の設備資金とは、主に建築工事費や医療機器、備品などの購入費用になります。一方、運転資金は使途の制限を受けることはなく、一般的な融資期間は5年〜7年程度となります。融資期間の長さがポイントになる理由は、元金金利を合わせた月額返済額を抑え、月々のキャッシュアウトをなるべく抑え、キャッシュを内部に留めておくためです。もちろん融資金額や金利など同じ融資条件だった場合、長期返済の方が、短期返済より返済総額は増えます。しかし、事業経営において一番大事なことは資金繰り(キャッシュフロー)です。保険診療でいくら売上が上がっていても、売上の約8割から9割を占める診療報酬がキャッシュとして入金されるのは、診療後2カ月後のことです。なるべく長期で資金調達することで月々返済額(キャッシュアウト)を抑えて、患者数が増えるまでの資金繰りを乗り越えます。そして損益分岐点を超え、十分な利益が出てきたら繰上げ返済してしまうことも可能です。最近では、耐用年数の短い医療機器や運転資金でも融資期間を10年〜15年程度の長期で融資をしてくれる金融機関も増えてきました。また、資金の調達先も、地銀などの銀行のほかに、日本政策金融公庫、メーカー系ファイナンス会社など多様化しており、それぞれのメリットを考慮し、これらを上手く組み合わせて資金調達をすることが大事です。

元金据置き期間

次は元金据置き期間についてです。
元金据置き期間とは、融資を受けてからしばらくの間は元金の返済が猶予され、金利のみ返済すれば良いという元金返済の猶予期間のことです。

前述の通り、クリニックでは保険診療を行った場合、診療報酬が入るのは約2か月後です。ということは、売上が計上されていても現金はまだ手元に入ってこないということになります。一般的にクリニック開業の場合、元金据え置き期間は、診療報酬の入金時期を考慮して2か月〜3か月で設定されることが多いですが、この元金据置き期間は、最低でも6か月、できれば12か月は確保したいところです。

クリニックを開業して、すぐに何十人も患者がくれば元金据置き期間など気にしなくていいのですが、多くのクリニックでは半年から1年半くらいかけて少しずつ患者数が増えていきます。この患者数が少ない時期に元金返済をするということは、借入金(運転資金)で借入金を返すということに他なりません。元金据え置き期間を長く設定することによって、患者数が少ないうちは金利のみ返済し、患者数が増えて利益が上がり始めた頃から、クリニックの売上げで元金返済を開始することができますので、資金繰り的にも精神的にもゆとりを持った返済計画にすることができます。

上記理由により、クリニック開業に伴う資金調達は、ただ融資を受けられれば良いということではなく、返済期間、元金据置き期間、金利、リースなど含め、全体を考慮した資金計画となっているか否かで開業後の資金繰り、ひいては開業成功の可否にも大きく影響してきます。

資金調達で重要なのは金利より
返済期間と元金据置き期間

【8】設計プラン、内装工事

物件が決まると、いよいよ建物(テナント開業の場合は内装デザイン、医院継承の場合は必要に応じて改修工事)の設計に取り掛かります。

設計の際は、クリニックの開業支援経験が豊富なコンサルタントを入れることをお勧めします。図面だけで正確に完成後のイメージを持つことは難しく、コンサルタントを入れることにより、ドクターのコンセプトを踏まえ上で、使いやすいスタッフ動線や患者動線、将来的な医療機器の入替え、コスト削減などについて的確なアドバイスを受けることができます。

設計を依頼する場合、設計事務所に依頼する場合と、建設会社に設計も含めて依頼する場合の2つのパターンがあります。それぞれどちらが良い悪いということはありませんが、設計事務所に設計を依頼する場合は、設計が確定した段階で施工会社を選定しますので、工事価格は数社から相見積をとるのが一般的ですので、価格競争力が働きます。一方、建設会社に設計も含めて依頼する場合は、工事金額の中である程度、設計コストを吸収できるので、設計施工の総額を低く抑えることができるといったことや、自社施工なので工期管理がしっかりできるといった利点があります。いずれの場合も、医療専門もしくは医療に特化している設計会社に相談し、実際に数社から設計プランを提案してもらい、提案内容を確認しながらコンサルタントを交え、よく相談した上で依頼するのが望ましいでしょう。医療に不慣れな設計事務所に依頼してしまうと、後で医療機器の入替えや歯科ユニットを増設する際に、給排水経路が考慮されていなかったり、電気容量が足りないなどのケースがあります。また、エコー室や内視鏡室の照明器具が調光式になっておらず、モニターが明るすぎて見づらかったり、レントゲン室のX線遮蔽工事の経験が少ないため、高額になってしまうといったことが起こります。

候補となる設計事務所が決まれば要望を反映した設計提案の依頼をします。
設計すると言ってもいきなり設計に取り掛かることはできません。まずは設計のデザインコンセプトを決め、ドクターが将来そこでどのような医療をやりたいのか?内装の要件を整理するところからスタートします。例えば、開業時は1診体制でスタートするが、将来的には非常勤のドクターを雇って2診体制にしたい。ゆくゆくはCTを導入したい。あるいは子供が大きくなったら自宅併設にしたいといった内容により、電気容量や給排水設備を含め、設計内容が大きく変わってきます。こうしたドクターが思い描く将来像まで掘り下げて設計プランを決めていきます。

設計プランは医療に特化した
設計事務所や建設会社に依頼

【9】医療機器選定

医療機器の選定の際、一番注意して頂きたいことは安易に開業を考えていることを第三者に話さないことです。安易な気持ちで医療機器メーカーや卸会社などから見積を取ったり、カタログ請求などをしてしまうと、すぐに業者間でドクターの開業情報が回ってしまい、医療機器の仕切り値が決まってしまいます。例えば、病院に出入りしている製薬メーカーのMRに相談すると、相談を受けたMRは医薬品卸にその情報を伝え、卸会社から各医療機器メーカーに事前連絡が入り、そこで仕切り値が決まってしまいます。あるいは、既に開業した先輩ドクターに相談したことがきっかけで、開業情報が広がってしまうケースもあります。先輩ドクターは後輩のために良かれと思って、自身が贔屓にしている卸会社を紹介しようとして、担当営業マンに後輩ドクターの開業情報を伝えたことがきっかけとなるというケースもあります。

医療機器は診療科目や診療方針にもよりますが、一般的な内科クリニックの場合、電子カルテやレントゲン、エコー、心電図など数百万円〜1千万円程度、内視鏡やCT、MRIなどを導入する場合、さらに数千万の費用が掛かります。医療機器は、資金計画の中で建物の建設費や内装工事に次いで大きな割合を占めますので、医療機器でしっかりとコストを抑えることにより、数百万円のコスト削減が可能になります。

コンサルタントを間に入れることで、ドクターの個人情報は匿名のまま医療機器メーカーからカタログや情報を集め、ドクターが希望する仕様、スペックなど条件を決めた後、各メーカーから競争入札形式で見積を取ることができます。そうすることで、数十万〜数百万のコスト削減が可能になります。また、導入する医療機器は電気容量や配線経路、床への荷重など建物の設計内容にも大きく影響しますので、設計段階から医療機器の導入計画を十分考慮した設計を進めることも重要です。

競争入札形式にすることで
医療機器コストを大幅削減

【10】スタッフ採用

多くのクリニックで、開業後一番苦労するのがスタッフの雇用労務です。

クリニックで採用するスタッフは、大きく分けて看護師、歯科衛生士など資格を要する専門職と事務職に分かれます。さらに診療科目や規模によって理学療法士、レントゲン技師、歯科技工士などを採用したり、ドクターが診療に専念できるようクラークを採用するクリニックもあります。運営上は採血や口腔ケアなど資格がないとできない業務内容以外の診療補助、看護補助業務と受付業務を区分せず、シフトにより事務スタッフが診療補助や看護補助もできる体制にすることで、突発的な欠勤や退職があったときも柔軟なクリニック運営が可能になります。

業務内容を細かく分けず
柔軟な医院運営が可能に

【11】雇用形態について

スタッフの雇用形態は、常勤雇用とパート雇用があります。常勤雇用の場合、スタッフは長期間安定した雇用が見込めるため、就業意欲や帰属意識を高めやすい反面、社会保険料など福利厚生費の事業者負担が増えます。パート雇用の場合、常勤雇用と比較して社会保険料など労務コストを抑えることができ、またシフトにより時間帯や曜日により人員配置を変えるなど柔軟な運営を行うことができます。新規開業の場合は、開業当初から常勤雇用して開業後に思ったより患者数が少ないからという理由で解雇するわけにはいきません。開業当初はパート雇用を中心として、本人の能力、意欲、適性をみながら、患者数が安定してから常勤雇用されることをお勧めします。医療法人化するときに希望者を常勤雇用に切りかえるという医院も多いです。

開業当初はパート採用を
中心とした柔軟な医院運営を

【12】試用期間の設定について

常勤雇用、パート雇用いずれの雇用形態の場合も、必ず試用期間を設けた方が良いでしょう。なぜなら書類選考と20分程度の面接だけで、その人の性格や資質をすべて見抜くことは難しいからです。面接の際、場違いな服装や、清潔感がない、笑顔がなく暗い方などは、ホスピタリティ精神が求められる医療現場には不向きですので不採用というのはわかります。
しかし、難しいのは面接ではすごく良い印象だった人が、採用して働き始めると全然違ったというケースです。当社とお付き合いのある社会保険労務士の方から聞いた、とあるクリニックのスタッフ採用で実際にあったケースです。その応募者は医療経験が豊富で、面接での質問には、素早く的確な回答があり、受け答えは明朗快活で笑顔も良く、誰もが即採用したいと思うような方だったそうです。もちろんその方はすぐに採用されたそうですが、採用後しばらくすると、ボーナスがなぜ出ないのか?有給はいつになったらもらえるのか?前に勤務していたクリニックではもっと待遇が良かった。と言いだし院長に待遇向上を求めたそうです。そしてそれを院長が断ると、数名のスタッフを巻き込んで突然辞めてしまったそうです。

面接である程度のことは判断できますが、やはり採用してしばらく一緒に働いてみないと、その人の本当の資質や性格は分かりません。採用時には必ず試用期間を設けることをお勧めします。

スタッフ採用の際には、
必ず試用期間を設けましょう。

【13】募集条件と書類選考

スタッフ募集時には、近隣クリニックの募集条件を把握した上で、募集条件を決める必要があります。近隣クリニックよりも募集条件が悪ければ、応募は集まりません。逆に条件を良くしすぎてしまうと、労務費の負担が大きくなってしまいます。

採用条件を決め、募集を掛け始めると募集条件の問い合わせや、応募者から履歴書が届きます。過去の職務経歴や志望動機などを確認し、書類選考の上、面接する方を絞り込みます。

スタッフ募集条件は近隣医院の
募集条件も参考にしましょう。

【14】面接スケジュール調整と面接のポイント

面接日は予めドクターの都合が良い候補日時を数日決めておき、一人20分程度でタイムスケジュールを組んでいきます。また、事前にドクターの診療方針や理念など応募者に伝えたいことをまとめ、応募者毎に質問内容が変わってしまわないよう質問事項も予め質問表にまとめておきます。面接には院長とコンサルタントが同席し、複数の目で評価された方が良いでしょう。面接時のチェックポイントは、クリニックはサービス業ですので、人当たりが良い受け答えができているか?きちんとした言葉遣いができているか?向上心や素直さがあるか?といった視点に加え、前職の退職理由や転職理由と志望動機に一貫性があり、矛盾がないかといった視点で面接をします。

面接では伝える事と質問事項を
事前にまとめておきましょう。

【15】採用通知と不採用通知

採用スタッフが決まれば、採用者には採用通知を、不採用者には不採用通知を発送します。応募者は近隣に住む方も多く、開業後に患者様となる可能性もあります。また口コミの発信源となり得ますので、不採用者には通知書面と一緒に粗品を同封するなど、面接に足を運んでくれたことに対して、ちょっとした感謝の気持ちを示すと相手に悪い印象を与えないでしょう。

また、面接時にはこちらが応募者の評価をしているのと同様に応募者もドクターの人柄や性格を見ています。面接で応募者に悪い印象を与えてしまうと、その応募者がマイナスの口コミ発信者にならないとも言えません。今日の応募者は、明日の患者様かもしれないと事を頭の片隅において、わざわざ履歴書を書いて応募してくれ、忙しいなか面接に足を運んでもらったという気持ちをもって面接に臨みましょう。

応募者は口コミ発信者に
なるかもしれません。

【16】雇用契約と就業規則

就業開始時までに労働条件通知書を用意し、雇用契約を締結します。スタッフが10人未満の場合、労基署への届出義務はありませんが、就業後の労務トラブルを防ぐため、予め就業規則を整備しておいた方が良いでしょう。また、万が一、スタッフがクリニックの現金に手を付けてしまった場合や、患者様の個人情報を漏洩するなどし、クリニックに損害を与えたしまった場合とその予防のために、身元保証人を立ててもらい身元保証書をもらうケースもあります。労務問題は起きてから対処するのではなく、事前に予防するための制度や仕組みを作っておくことが大切です。

ルールを予め決めておくことで、
労務トラブルを未然に防ぎます。

【17】開業前スタッフ研修と模擬診療

採用スタッフが決まり、雇用契約書を取り交わしたら、開業前研修を実施します。

開業前におよそ2週間〜3週間程度の研修期間を設けます。ここで行う研修は、主に電子カルテの操作トレーニングが中心となります。電子カルテのトレーニングは電子カルテメーカーからインストラクターが来て、研修をしてくれます。また導入する医療機器により、レントゲン、CT、MRI、心電計、内視鏡、聴力検査機器、リハビリ機器、予約システムなどの操作説明や開業後の患者対応に関する接遇研修もスケジュールを組み研修を行っていきます。

全ての研修カリキュラムが終わると、研修の総仕上げとして模擬診療を行います。模擬診療では、メーカーの担当者などに患者役をお願いし、実際の診療を想定して、受付、問診、診察、検査、会計まで一連の流れを通して行います。模擬診療は開業直前のシミュレーションとしてとても重要です。模擬診療を行うことで、医療機器の操作方法の確認や、指示箋の受け渡しなど実際の診療の流れを事前に確認することにより、問題点を洗い出すことができ、開業後も慌てずに対応することができます。

模擬診療で診療全体の
流れを把握します。

【18】ホームページ

今や新規患者のクリニック認知及び来院理由は口コミとホームページが大半を占めます。また、最近ではスマートフォンでクリニックを検索して来院する方も増えています。

近所の知人や親戚の口コミで知った方も、たまたま近くを通りがかりクリニックを知った方も、多くの方は来院前にホームページを検索し、どのようなドクターが、どのようなクリニックで、どのような医療機器を入れて、どのような診療を行っているのか?といった情報を予め確認しています。例えば、近所に2つのクリニックがあった場合、それぞれのホームページを確認して、多くの方は診療内容やコンセプトがよりわかりやすく、院長の人柄がわかるクリニックに行こうと思われることと思います。

WEB戦略は、ホームページを見つけてもらうまでの対策と、ホームページに見たあとに来院してもらうための対策はそれぞれ異なります。より多くの方に認知してもらい、来院に繋げるためにホームぺージはしっかりと作りましょう。

新患の多くは来院前に
ホームページを確認します。

【19】関係行政への各種届出

個人開業の場合、クリニック開業後10日以内に管轄の保健所へ開設届を提出する必要があります。また、開業時から保険診療を行うためには、事前に管轄の厚生局へ保険医療機関の指定申請期日を確認しておく必要があります。保健所の開設届は開設後の提出でも良いのですが、保険医療機関の指定申請の際に、保健所の開設届の写しが必要となりますので、実際は開業より前に開設届を提出しておかなければ、開業月から保険診療を行うことができなくなってしまうので注意が必要です。また、特掲診療料や公費などについても届出項目を確認の上、届出を行います。

関係行政への各種届出を
忘れずに行いましょう。

【20】近隣挨拶

開業前の近隣挨拶はとても重要です。開業準備で連日忙しくても、必ずその合間に時間を作って近隣挨拶に行きましょう。クリニックの患者の多くが、最も参考にする情報源は『近所の口コミ』です。また、来院患者の約8割がクリニックから半径1㎞〜1.2km(徒歩15分圏内)の近隣住民であることを考慮すると、そのエリア内にある人が集まる場所、すなわち口コミの情報発信元となる場所に、クリニック開院案内をもって開院挨拶に行きましょう。

具体的には、自治会、町内会、商店街、PTA、学校などです。また、診療科目により、例えば内科であれば、老人ホームや地域包括支援センター、居宅介護支援事業所などへの挨拶回りはとても効果的でしょう。ドクター自らが挨拶に行くと驚かれることが多く、「新しくできた○○クリニックの院長先生がわざわざ挨拶に見えたのよ。」とそれだけでも相手の印象に残り、十分な口コミ効果が期待できるでしょう。

近隣への開業前挨拶は
必ず行きましょう。

【21】内覧会企画・運営

内覧会を開催する目的は、クリニックを地域の皆様に公開し、診療方針、院長とスタッフの人柄、内装や医療機器の設備などを知ってもらい、開業後の集患につなげることです。

内覧会開催の告知

内覧会の告知は、新聞の折り込みチラシやポスティング、最寄り駅前でのチラシ手配りなどの方法を使って行います。また、内覧会の案内チラシができたら、町内会や商店街、自治会など、直接持参して挨拶へ行く方がより効果的ですので、前述の近隣挨拶と内覧会の告知を兼ねて訪問すればより効率的でしょう。

折込み広告の注意点

内覧会の告知チラシでは注意点があります。医療機関の広告については、医療法で広告規制がかけられており、誇大広告や比較広告、あるいは粗品プレゼントなどによる誘導広告なども規制の対象となりますので注意が必要です。広告規制に反した内容のチラシを投函してしまうと、保健所から指導があったり、あるいはそのチラシを見た医師会や近隣のクリニックからクレームが入る可能性があります。そのようなことが無いように、チラシ構成案ができたら保健所に事前協議にいき広告規制に掛からないことを確認しておけば安心です。

内覧会当日

内覧会当日は、スタッフにもなるべく参加してもらい、来場された方1組につき、スタッフが1人ついて案内します。時間帯により同時に多数の来場者が重なることもありますので、混乱しないよう事前に院内を案内する順番と医療機器など説明する内容を決めておくとよいでしょう。また、来場者を案内していると、院長の出身大学や前勤務先、専門分野など様々な質問をされますので、事前に回答する内容を整理し共有しておけば、人によって回答が違う、あるいは誤って院長の個人情報に関する情報まで伝えてしまったということを防ぐことができます。医療機器の説明については、メーカーの担当者に説明してもらう方法も良いでしょう。

内覧会には、医療機器メーカーや建設会社の担当者など応援に来てくれることも多いですが、業者が内覧会に応援参加するときは、なるべくカジュアルな服装で参加してもらった方が良いでしょう。複数の業者が黒のスーツにネクタイを着用して、クリニックの内外をウロウロしていると、せっかく足を運んでくれた来場者に、高圧的で入りにくい印象を持たれてしまいます。内覧会では親しみやすい印象をもってもらうことが大切です。

内覧会では親しみやすい
雰囲気作りを心掛けましょう